思えば… 私は… 幼い頃から…
おおよそ… 人より… 食（しょく）の細（ほそ）い子でした…
お肉の≪食べ応え≫（volume）と 匂いが苦手で吐瀉し（としゃし）
よくイジメられた……
そんな私を いつも 助けてくれる≪女子≫（）がいて
月のように優しい微笑みが 素敵な
大切な≪一生の宝物≫（親友）だと 思っていた……
思えば… 私は… 思春期の頃から…
その割に… 人より… 発育（はついく）の良（よ）い娘（こ）でした…
「トロいくせに巨乳（きょにゅう）で ≪葉もの野菜≫（くさ）ばっか食（は）んで 牛かよ」と
よくカラカわれた……
そんな私を 時折 庇（かば）ってくれる≪男子≫（ひと）がいて
月のように優しい微笑みが 素敵な
彼女が鬼ような形相（ぎょうそう）で……
「アンタみたいなダサい≪女≫（こ） 助ける私は天使みたい――って
そんな引き立て役の 筈（はず）だったのに
≪醜女≫（ブス）が≪無駄な色気づいた肉体≫（からだ）を使って
≪私の想い人≫（かれ）を誘惑（ゆうわく）しないでよ
勘違いして調子（ちょうし）コかな．い．で！」
oＯ〔この≪女≫（ひと）は何を喚（わめ）いているのだろう？〕
嗚呼… 何で欺瞞（ぎまん）で 吐（は）き気がする世界だろう
滲（にじ）む夜の影で 星が嗤う……
The first food which she became unable to consume was the odorous tender veal.
It was the only meat she felt delicious.
それからの… 私は… 人間不信に陥（おちい）り…
心を… 固（かた）く鎖して… 独りきりの世界で…
誰も寄せ付けずに… 何も受け入れずに… 生きてた――
けど… ≪≫（かれ）に出逢って
幾つもの季節を重ね
真実の愛は在るんだと 運命は有るんだと
やっと 思えた！
そ し て
初めて結（むす）ばれた朝の光 私は生涯（しょうがい）忘れないでしょう
抱きしめて 抱きしめて これからは貴方と二人
いえ ≪お腹の中の宝物≫（この子）と三人で
生きてゆこう ≪幸せ≫（ひかり）の中を！
Unhappiness is the neighbor of happiness.
It surely lives, next to all families.
良いことばかりじゃないけれど
悪いことばかりでもない！――なんて…
そう思った時もあった…
けれど… 結局人生なんて… ロクなものじゃない…
待ち望んでた… 我が子には…
とても致命的（ちめいてき）な障碍（しょうがい）が… あった…
白い壁の中… 寝返り（ねがえり）ひとつ打（う）てず…
鎖のような≪冷たい管≫（tube）に繋がれたまま逝った……
星屑を集めるように 朽ちてゆく世界に
望まぬまま？ 産み堕（お）とされ？ ≪人生≫（せい）の悦びなど 知らぬまま？
果たしてあの子 幸せだったの？
ごめんなさい
嗚呼… 何て無力で 救いの無い世界なのに
騙（かた）りだした ≪≫（体の声）
この【第九の現実】（ひかり）を裏切って ≪絶望≫（やみ）の淵さえ 輝かせる
見せ掛けは 何で綺麗で 吐き気がする世界だろう
朽ちる夜の影で 星が躍る……
After that, she became unable to eat seafood, eggs, dairy products, fruits,
and even vegetables finally.
否定（ひてい）する… 食への執着（しゅうちゃく）に…
比例する… 生への嫌悪感（けんおかん）…
煌めく… 罪を抱いた星の砂… 零れる窓辺（まどべ）… 一羽（いちわ）の夜鷹（よたか）…
（嗚呼… 私は生きた……嗚呼… 私は生きた……）
〔その頃の妻は≪苦難の物語≫（人生）を 生きてきたその意味を、
自分を≪構成する哀しみを否定する≫（だます）ように、言い聞かせるように、
（……嗚呼… 私は生きた……）
何度も繰り返した…… 〕Ｏo
（…嗚呼……嗚呼……）
〔嗚呼… 心身（しんしん）共に≪衰弱して≫（よわく）ゆく君を
この現実に連れ戻さない事が、
優しさの皮（かわ）を被（かぶ）ったそれ以外の【何か】だとしても、
唯… 君には最期まで笑って居て欲しいと願った…… 〕Ｏo
《食物が連なる世界》
ｗ↓ △ ︱ｗ
（草を食（は）む 虫は呑（の）まれ
その蛙（かわず）を呑む 蛇も食（く）われ
その鳥を食（く）う 鷹は空を
どこまでも高く 自由に飛び去った
遠くで鳴り響いた銃声 屠（ほふ）った彼もいずれは死して土に還る
彼らを繋ぐ鎖で編（あ）んだピラミッドには
勝者など 誰も居ないと）
気付いたの 不意に ≪≫（光）の中で！
≪≫（いのち）が萌える
≪≫（）の中で
≪≫（我が血）が廻（めぐ）る≪音≫（こえ）を聴いた
ここに… いたの！？ 笑って… いたの！！！
