日暮れ 路面電車に飛び乗って
現実逃避を計りまして
流れる景色を見る様な
窓にうつる自分を見る様な
およそ空っぽの頭の中
やけに響く英語のアナウンス
ビルを超えて 山を越えて
あの娘が住む町を越えて
気付けば夜に変わっている
静かに時は流れている
通りの向こう灯る店の
侘しい光に呑まれていく
胸の辺りで二回転半
グラスに注いだ毒を廻す
知らない町の知らない人
覚えたばかりのソレを飲めば
誰もが馬鹿に想えます
訳アリっぽい男女の番が
何やら耳打ちで話出して
「どうして?」の問いに
「愛してる」って
答えになってないぜ 兄さん
居心地が悪くなってきて
席を立とうと想った時
ぽつぽつと雨が降って来て
再び品書きに目をやれば
雨曝しの学生が
笑いながら駆け抜けてく
想わず目を逸らしてシまう
覚えたばかりの毒が回り
昨日さえも昔の様です