TEKST PIOSENKI 親指を隠さずにW WYKONANIU 槇原敬之
長いクラクションは
世界中に向けた
最後のお別れを言うように街に響く
もう二度と一緒には戻れない街の通りを
荼毘所に向かう
車から見ていたら
通りに出てきた小さな子供達が
母親の前に並んで
いつまでも手を
合わせてくれていたんだ
どんな人生だったと
神様に尋ねられた時
彼らの姿を思い出して
亡き人も微笑むのだろう
だから僕はあの日から
黒い車を見つけても
親指を隠さず
手を合わせようと決めたんだ
親の死に目に会えないとか
不安な迷信を
まだ幼い子供に教えたりするその前に
もっと教えておくべき
大事な事がある
例えば誰の命も限りがあることとか
何にも持っていくことはできない
自分の体さえも置いて
心だけで旅に出たのは
誰にとっても
本当は大事な人なんだ
誰かの命が終わったと
知ったと少し心が傾くようで
名も知らぬ誰かにも自分が
支えられて生きていると知る
だからありがとうの気持ちと
次の旅先の無事を祈って
親指を隠さずに
手を合わせて見送りたい
そのあとゆっくり目を開けると
なぜか
さっきより世界が暖かく
愛おしく見えるんだ
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